相続入門 (第2回) — 「相続人と相続割合について」

こんにちは。司法書士の砂川知明です。

ちょっと間があいてしまいましたが、「相続」についての基本的なご説明を続けます。

今回は、「相続人と相続割合について」です。

相続が発生したら、相続人が被相続人(亡くなった方)の財産(資産・負債)を相続することになるのですが、そもそも誰が相続人になり、相続割合はどうなるのでしょうか。

実は、被相続人が亡くなった時期によって相続人になる人及び相続割合が異なるのです。

ポイント:相続が発生した(亡くなった)時期によって、相続人及び相続割合が異なる。
⇒相続は発生した時点の法律がさかのぼって適用される。

具体的には以下のとおりです。

1.家督相続:(明治31年7月16日から昭和22年5月2日の間に発生した相続)
⇒原則、戸主に相続が発生した場合長子が単独で相続します(家督相続)。

2.応急措置法:(昭和22年5月3日から昭和22年12月31日の間に発生した相続)
⇒家督相続規定が廃止され、配偶者が常に相続人となることになりました。
相続割合は下記のとおりです。
①直系卑属(子、孫等)と配偶者が相続人の場合 直系卑属 2/3 配偶者 1/3
②直系尊属(父母・祖父母等)と配偶者が相続人の場合 直系尊属1/2 配偶者 1/2
③兄弟姉妹と配偶者が相続人が相続人の場合 兄弟姉妹 1/3 配偶者 2/3
※兄弟姉妹の直系卑属には代襲相続権はありません。
※非嫡出子は嫡出子の1/2、兄弟姉妹は全血半血による相続分の相違はありません。

3.現行民法旧持分(昭和23年1月1日から昭和55年12月31日の間に発生した相続)
⇒相続割合は2の応急措置法と同じです。
※兄弟姉妹の直系卑属に代襲相続権あり。
※非嫡出子は嫡出子の1/2、半血兄弟姉妹は全血兄弟姉妹の1/2

4.現行民法新持分(昭和56年1月1日以降に発生した相続
⇒相続割合は下記のとおりです。
①直系卑属(子、孫等)と配偶者が相続人の場合 直系卑属 1/2 配偶者 1/2
②直系尊属(父母・祖父母等)と配偶者が相続人の場合 直系尊属1/3 配偶者 2/3
③兄弟姉妹と配偶者が相続人が相続人の場合 兄弟姉妹 1/4 配偶者 3/4
※兄弟姉妹の直系卑属は被相続人の甥姪についてのみ代襲相続権あり
※非嫡出子は嫡出子の1/2(民法改正により平成25年9月5日以降に発生した相続については非嫡出子と嫡出子の相続分は同等となりました)

まとめ
ポイントで述べたように、相続が発生した時期により相続人及び相続割合が異なることから、長期間相続手続きをしていなかった場合には、相続が発生した時点において適用される法律が現行法と異なる可能性がありますので注意が必要です。