相続入門 (第1回) — 「相続の開始について」

こんにちは。司法書士の砂川知明です。

「親が亡くなったけど、相続に関してよくわからない・・・、何から始めたらよいか分からない・・・」 という方はとても多いのではないでしょうか。

「相続」は誰にでも発生する問題ですが、「相続」に関する知識がなく、実際に「相続」が発生してから慌てて調べるという方が多いのも事実です。

これからこのブログで、「相続」についてわかりやすくご説明をさせていただきます。

今日は、その第1回目。「相続の開始について」です。

「相続は、死亡によって開始する。」(民法第882条)
人が産まれる場所や時間がそれぞれ異なるように、人が生涯を終えるときも場所や時間が異なります。
全ての人が病院で誰かに見守られながら亡くなるのではないことから、法律においては、さまざまなケースを想定して、相続の開始について規定しています。

さて、前述のとおり、相続は死亡によって開始するのですが、「死亡」について民法では大きく3つのケースに分けて次のとおり規定しています。
①亡くなったとき
②不在者の生死が7年以上明らかでないとき
③事故にあって所在や生死が分からないとき

①の「亡くなったとき」とは、文字通り死亡の事実が発生したときです。同居の親族等の届出義務者は、死亡の事実を知った日から原則として7日以内に、死亡者の本籍地等に届け出なければならないとされています。
死亡届には、所定の事項を記載したうえで、死亡診断書または死体検案書を添付しなければなりません。また、やむを得ない事由によって死亡診断書または死体検案書を添付することができない場合は、死亡の事実を証する書面をもってこれに代えることができます。

②の「不在者の生死が7年以上明らかでないとき」とは、失踪などにより不在となった人の生死が7年以上不明である状況が続いている場合のときです。

この場合、家庭裁判所は利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます。そして、失踪宣告を受けた不在者は、7年の失踪期間の満了の時に、死亡したものとみなされます。7年間の起算点は、不在者の生存が認められた最後の時点であり、その翌日から起算して満7年間が失踪期間となります。
失踪宣告の申し立ては、不在者の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所に対し行います。家庭裁判所は、公示催告期間(普通失踪の場合は、6か月以上)を定めて、公示催告をなし、事実の調査等をした上で、審判で宣告をすることになります。

③の「事故にあって所在や生死が分からないとき」とは、特に死亡の可能性の高い危難に遭遇した場合、すなわち、戦地に臨んだ者、沈没した船舶に在った者、その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後、又は、その他の危難が去った後、1年間明らかでない場合のときです。

この場合、家庭裁判所は利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます。そして、失踪宣告を受けた不在者は、危難が去った時に死亡したものとみなされます。
失踪宣告の申し立ては、不在者の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所に対し行います。家庭裁判所は、公示催告期間(危難失踪の場合は、2か月以上)を定めて、公示催告をなし、事実の調査等をした上で、審判で宣告をすることになります。
また、「事故にあって所在や生死が分からないとき」には認定死亡という制度もあります。認定死亡とは,戸籍法により,水難,火災その他の事変によって死亡した者がある場合に,その取調べをした官庁または公署の報告に基づいて,戸籍に死亡の記載がなされるべきものとされている制度で,これにより死亡が推定されることになります。

今日は、「相続」のカテゴリーの
「相続の開始について」
というブログでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。